治療

 

スギ花粉症・ダニアレルギーへのアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)

アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)

当院では、スギ花粉症やダニアレルギーの根本治療も期待できるアレルゲン免疫療法が行えます。アレルギーの原因であるアレルゲンを少量ずつ投与して、体をアレルゲンに慣らすことによってアレルギー反応を弱めて行く治療法です。

舌下免疫療法

薬剤投与は、舌下錠というタイプの薬を口の中に保持し、その後飲み込むことで行います。このため舌下免疫療法という用語も使われます。時間をかけてアレルギー反応を弱めていく治療法ですので、3年以上の長期間の治療期間が必要になります。スギ花粉症、ダニアレルギー共に保険適応となります。

アレルゲン免疫療法で期待できる効果

3年間以上正しく治療を行うと、アレルギー症状が消失する、あるいは長期間アレルギー症状を抑える効果が期待できます。症状が完全に消失しなくても症状が軽くなれば、薬剤を減らすことが可能になります。
治療を受けた方の約2割の方はアレルギー症状が消失し、約6割の方は症状が軽くなる等の効果がみられます。

アレルゲン免疫療法の副作用

治療開始の初期に口の中のかゆみや腫れ、喉のかゆみなどの症状が出ることがありますが、ほとんどの場合は治療を続けていくことで症状は消失します。
またこれまでに報告例はありませんが、理論上アナフィラキシーショックなどの重いアレルギー反応が出る可能性が全くないとは言い切れません。そのため、初回投与は院内で必ず行い、30分程度院内にて状態を診させていただきます。

スギ花粉症のアレルゲン免疫療法

スギ花粉が飛散する時期には治療を開始できません。6月から12月始め頃の間に治療を開始する必要があります。5歳から治療が可能です。受験等の大事な予定への悪影響を減らすことも期待できるでしょう。

ダニアレルギーのアレルゲン免疫療法

1年中存在するアレルゲンであり、時期に関係なくいつでも治療を開始することができます。5歳から治療が可能です。

興味がある方、この治療をやってみたい方は是非ご相談ください。

 

 

重症スギ花粉症へのゾレア®︎皮下注射治療

重症・最重症のスギ花粉症に対する最新治療:ゾレア®︎皮下注による治療

スギ花粉飛散期(2月~5月)限定で抗IgE抗体薬(ゾレア®)を皮下注射する治療です。

従来の治療

スギ花粉症の治療薬の従来の主役は「抗ヒスタミン薬」です。それ以外に、点鼻ステロイド薬、抗ロイコトリエン薬、内服ステロイド、手術治療などがありますが、最近では「スギ花粉エキスによるアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)」が根本治療が期待できる治療として行われています。これは3年以上毎日スギ花粉エキスが含まれた錠剤を舌の下に含みその後内服する治療方法ですが、効果が出るまで時間がかかるため受験等の大事な時期に間に合わないこともあるでしょう。 これらの様々な治療で満足な効果が得られない、重症・最重症のスギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の方に対して、新たな選択肢としてゾレア®︎皮下注による治療が可能になりました。

どんな治療?

アレルギーが原因の病気は、様々な化学反応が生体内でおこり連鎖していくことで起こりますが、その連鎖を引き起こす物質の産生や活動をブロックする「抗体」を投与し、病気の流れを止めてしまう治療です。気管支喘息の抗体治療薬として使われてきて効果が証明され、2020年から重症スギ花粉症の治療薬として認可されたのがゾレア®です。血液中の総IgE抗体値、体重をもとに投与量が計算され、2週間もしくは4週間おきに1~4本の注射を皮下注射する治療となります。

治療までに必要な段階

この皮下注射による治療は既存の治療を行っても症状が酷い、「重症」「最重症」のスギ花粉症の方(12歳以上)に限定した治療です。高額の医療費がかかるため治療開始までにはいくつもの段階を経る必要があります。

① 診察・検査で重症・最重症のスギ花粉症であることを確認。症状が副鼻腔炎などの他の病気によるものでないかを、検査で確認する場合も。 その上で1週間以上、従来の治療(抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬)を行う
② 再来院の際のスギ花粉症の症状・所見が、従来の治療を行なってもガイドライン上「重症」もしくは「最重症」であることを確認。血液検査でスギIgE値、総IgE値を測定
③ 約1週間後に採血結果を説明して、投与可能かどうか、投与量と投与間隔の決定
④ 再来院いただきゾレア®の注射を開始

スギIgE値がクラス3以上、総IgE値が30~1500IU/mLであることが条件です。
体重と総IgE値よりゾレア®の投与量と投与間隔が決められます。総IgE値が高く、体重が重い方はより多くの注射が必要となります。(体重がより重い方は総IgE値が1500IU/mL以下であっても必要投与量が限界量を超えてしまうことにより、「投与不可」となる場合があります。)

治療費

費用はゾレア®︎の薬剤費のみで1か月あたり、3割負担の方で約8千〜12万円となります(投与量・回数によって金額が変わります)。自己負担が高額になる方は限度額適用認定証を申請し、年収に応じた医療費の助成を受けることをお勧めします。
ノバルティス社のホームページの季節性アレルギー性鼻炎コーナー( http://hajimete-xolair.jp/ )で概算費用を確認できます。
スギ花粉飛散時期に毎年非常につらい方、2〜3月に受験を控えるお子さんにとっては大きな助けとなる可能性がある治療です。興味がある方、この治療を希望される方は是非ご相談ください。治療開始までの段階を考えると、前の年の秋か遅くとも12月には受診いただくのがいいでしょう。

 

 

ヒスタグロビン・ノイロトロピン注射

ヒスタグロビン注射

花粉症・アレルギーの症状を抑える治療に『ヒスタグロビン注射』があります。
スギ花粉などのアレルゲンが鼻腔などに侵入すると、ヒスタミンという化学物質が作られ、過剰な生体反応であるアレルギーを起こします。
『ヒスタグロビン』を定期的に注射することでこのヒスタミンへの抗体をつくり、アレルギー反応を抑えることが可能です。
一時的な効果だけでなく、アレルギー体質を改善していく効果が期待できます。非特異的変調療法とも呼ばれ、特定のアレルギー原因物質に対する特異的減感作療法とは異なり、アレルギーを起こすアレルゲンの種類に関係なく効果が期待できます。
また、ステロイド注射とは違い副作用が極めて少ないことが特徴です。

 

治療

週に2回程度の頻度で原則6回の皮下注射を行うことを基本(1クール)として行います。
約3~4ヶ月後に同様の治療を継続していくことで、長期間症状を抑えることが期待できます。
『ヒスタグロビン注射』は同じくアレルギー性疾患に効果を持つ『ノイロトロピン注射』と同時に注射すると相乗効果でさらに有効性が高まりますので、併用治療をお勧めしています。

 

注意点

週に2回程度のペースで6回続ける1クールの期間の通院が必要です。
『ヒスタグロビン』は国内献血由来の血液を原料とする、特定生物由来製品(生物製剤)に分類されます。製造過程において、危険な細菌、ウィルスなど全ての微生物の排除が理論上では十分なされている上、製造検定段階においてもあらゆる微生物検査が厳重に行わております。昭和42年に国内で発売されて以来、一度も感染症を起こしたことのない安全性の高いものです。
激しい喘息、発作があるとき、妊娠中、または妊娠の可能性があるとき、著しく衰弱している方などはこの薬剤は禁忌であり使用できません。
生ワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ・水痘ワクチン)の効果に対しても影響を与える可能性があるため、生ワクチン接種からは最低2週間あける必要があります。『ヒスタグロビン注射』を行なってから生ワクチンを接種する場合は最低3~4ヶ月空ける必要があります。

 

治療期間

皮下注射を週に2回程度の間隔で合計6回注射します。
(15歳未満の小児は週1回の間隔で3回また6回です)

 

ノイロトロピン注射とは

『ノイロトロピン』は化学合成によらずに作り上げられた注射液であり、体に大きな負担をかける事が無く副作用や依存性の心配が非常に少ない薬剤です。
ワクシニアウィルスという安全なウィルスを家兎(ウサギ)の皮膚に注射し、炎症を生じた皮膚組織から抽出分離した非タンパク性の活性物質を含有する注射液です。
この抽出物質は下行性疼痛抑制系という神経機構を活性化する事によって疼痛を軽減する事が知られています。
その特性を生かして、慢性的に経過する腰痛や肩・首のこり、痛みにもよく使用されます。

 

効果
 

『ノイロトロピン注射』は花粉症の諸症状に対しても有効です。
なぜ効果があるのかは判明していない部分が多い(疼痛の抑制に作用するのと同様、神経機構に作用すると推測されます)のですが、長期連用でも副作用がほとんど無いという点は痛みに対する投与と共通しています。
また、花粉症によるくしゃみや鼻水、鼻の違和感、眼球のかゆみなどの幅広い主要症状に効果があります。
また、花粉症による目の周りなど全身の皮膚のかゆみにも効果的です。

 

良い点

『ノイロトロピン注射』は様々な薬との併用に問題がないという点も大きな利点です。
予期しない副作用が出現する事などもほとんどありません。また、『ノイロトロピン』は化学合成されていないため、注射液の性状が比較的体液に近いという性質もあります。
そのため注射時の刺激が少なく、あまり痛くないというのも大きなメリットです。

 

悪い点

作用に個人差があります。
抗ヒスタミン剤の内服薬などと比べて、効く人と効かない人という様に個人差がある、また同じ患者さんでも効く時と効かない時があるという様に効果の発現に差がある印象があります。そのため花粉症に対する治療としては、補助療法という位置づけにとどまる事が多いと思われます。
つまり副作用が少ないとても良い治療法ではありますが、『ノイロトロピン』単独のみでの治療では十分な効果は得られにくい場合も多く、『ヒスタグロビン』や通常の内服・点鼻薬等との併用が望ましいでしょう。

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